映画エマ2020(EMMA.) 感想

エマ 2020 映画 ジェイン・オースティン関連

映画エマ2020(EMMA.)感想です。
アメリカからBlu-rayを購入し、英語字幕で観賞しました。
米アマゾンのレビューではかなり賛否両論の作品です。

エマ 2020 映画

※ネタバレ注意!
※原作崇拝する原理主義者のためかなり厳しめ評価

 

・これはソフィア・コッポラ監督『マリーアントワネット』のリージェンシー版と言ってよい。画がとにかく綺麗!映像美!芸術的!!
19世紀初頭の摂政時代のイギリスにタイムスリップしたかのような世界観。

エマ 映画 2020

 

・オータム・デ・ワイルド監督はカメラマンだそうで、構図や色彩に並々ならぬこだわりあるなー美意識高いなーと随所から伝わってきます

このあたりとか↓
エマ 映画 2020

↓これはドンウェル・アビー内。豪華絢爛な内装。

 

 

・パステルカラーを基調とした壁紙、調度品、ドレスなど、心惹かれない女子はほとんどいないんじゃないか?
とにかくガーリー、可愛い、おしゃれ。

 

イングランドの自然美にもほれぼれ。どこを切り取っても絵になる美しさ。このお屋敷はイーストサセックス州にあるファール・プレイス(Firle Place)という所らしい。第8代ゲイジ子爵の邸宅。HPもすばらしいな。行ってみたい・・・

 

・エマ役のアニヤちゃん可愛い。ころころ七変化する凝ったドレスやボンネット、華麗なヘアアレンジは目の保養。

アニヤ・テイラー・ジョイアニヤ・テイラー・ジョイ

 

 

・ミスターウッドハウス役のビル・ナイすばらしい。ビル・ナイを見るだけでもこの映画の価値ある。気品あふれる容姿と佇まいで、これぞまさにミスターウッドハウス。

原作よりかなりキビキビ歩いて元気そうだったけど、これってある意味、皮肉なのかも?と気付いた。やたら病弱アピールするけど実際身体は元気という。深い…
↓すきま風防ぐ衝立に四方囲まれてたのは笑った

ビル・ナイ エマ 映画

 

 

・内容はというと…うーん。。かなり上っ面だけなぞった感じ(^_^;)中流・ジェントリ階級の狭い世界でお上品な紳士淑女の生活を描いただけ。
まあそれでもいいのですが、最低限なにか心に響くもの感情に訴えかけるものが欲しかった。淡々とストーリーが進んでいくだけで、登場人物のだれにも共感できないし感情移入もできない・・・

 

・『エマ』の醍醐味である謎解き要素はほぼ皆無。勘違いの喜劇がこの作品の妙味なのに・・・。エルトン氏のなぞなぞもフランク・チャーチルのアルファベットゲーム(blunder)も全部省略されてた(´;︵;`)

 

・私の持論では、エマは愛らしさと憎たらしさのバランスが絶妙でないといけないんです。
比率で表すと『愛らしさ:憎たらしさ』は原作4:6、グウィネス版9:1、ロモラ・ガライ版4:6、アリシア・シルバーストーン版8:2くらい。
でもアニヤちゃん版は愛され:憎らしが1:99くらいで、かなり振り切っちゃってるんですよね…
これはアニヤちゃんのせいじゃなくて演出の問題だと思います。どうも可愛げがなくて応援できない。共感できない。やたらスノッブな所だけ鼻につく。
なんでかなって考えたらこのエマ、ほとんど笑わないんですよね…にっこりとは笑わない。でもまぁ最後らへんになってようやく可愛く見えたかな。

 

・エマがフランクのこと好きな感じがあまり伝わってこなくて、エマが失恋したのではと心配するウェストン夫妻や最後のナイトリー氏のプロポーズの勘違い感が薄れてしまっていた。

 

・何より一言物申したいのはナイトリー氏のキャスティング。原作の設定に比べて見た目が若すぎる。
まだフランク役の方が合ってたのでは?

私の中ではジェレミー・ノーサムのナイトリー氏が完璧すぎて偏見があるのは自覚してます…この完璧なナイトリー氏みたら、他の人は全部色あせて見えちゃう…↓

ジェレミーノーサム

 

 

 

・ハリエットのキャスティングもイマイチ…

↓原作にない小麦粉崩しゲームは当時の遊び?でもあんまり必要ないシーンのような

 

・ジェイン・フェアファクスはたしかに美人。でも原作以上に冷たい感じで近寄りがたい美人…

 

 

・原作にないシーンを入れるのは、その世界観とキャラクターの性格をちゃんと踏襲してる限り全然構わないのですが、ナイトリー氏が着替えで後ろ姿フルヌード(お尻丸見え!)になったり、エマがパンツ見えるくらいスカートたくし上げたり、プロポーズされて鼻血がでるっていうのはちょっとさすがに唖然…(´;︵;`)オースティンの世界と鼻血なんて一番程遠いものだろうに。
↓アニヤちゃんの美しいお顔が…

このシーン入れる必要性あった??意図がさっぱりわからなかった。
これは米アマゾンレビューでもみんなおかしいと指摘してました。

 

・ロボットみたいな召使たちがやたらと画面に入り込んで悪目立ちしてたのが気になった。当時の召使事情を表したかったのかなー。

 

・かなり辛辣になってしまいましたが、これらの欠点をすべて補ってあまりあるくらい、映像美は素晴らしくため息ものです。この美しさを堪能するためだけにもう一度観てみたいです。オースティンファンなら一見の価値ありです。

衣装だけなら、アカデミー賞受賞してもおかしくない。

 

当時の生活の様子もよく描写されてて興味深かった。
ほんとにロウソクの明かりだけで、相当暗い中ディナー取ってたんだろうなぁ。

並んで登校する寄宿学校の生徒たち。

 

髪のカール。分別と多感でもこんなシーンあったような。

 

ミス・ベイツなど脇役の人たちも秀逸な演技。
ミスベイツ

お気に入りはエルトン夫人。原作の下品(vulgar)な成り上がり者(upstart)感がよく出てた。てか首長いな…
エルトン夫人 エルトン氏

 

ちなみに、英語字幕で観賞するのかなりキツかったです。
英語では原作読んでないけど、台詞ほぼ原文どおり?
数秒のうちにあの難解な文章を理解するのは大変でした。グウィネス版はこんなに難しかったかな??

映像は☆5、キャスティング☆2、内容は☆2といったところです。

でもやっぱり、初見の人には圧倒的にグウィネス・パルトロー版を勧めたいかな。2009年のBBC版ロモーラ・ガライ版は原作通りのエマすぎて見てて腹が立ちますが、内容はほぼ忠実です。
ケイト・ベッキンセイルver.もかなりの高評価みたいなので、いつか見てみたいと思います。
(追記)
ケイト・ベッキンセイルのエマもYouTubeで鑑賞しました。評判高いだけあって、やはり素晴らしかった。全体的な完成度の高さで言ったらもしかしたらこれが一番かもしれません…
お嬢様らしい気品にあふれたエマ、原作イメージどおりドンピシャのフランク・チャーチルとジェイン・フェアファクス…
個人的に唯一惜しいのはナイトリー氏か。グウィネス版と甲乙つけがたいぐらいの良作でした。

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