☆田舎の大きな屋敷はそれぞれ「ケリンチ・ホール」や「アパークロス」などの固有の名前を持っており、同時にその地所全体やその一家の人々を意味することもある。
☆Miss.はミス・〜、Sirはサー・～、Mr.は〜氏、Mrs.とLady(准男爵夫人)は～夫人と表記する。
アン・エリオット：主人公。准男爵サー・ウォルター・エリオットの次女。物静かで控えめだが聡明な27歳。未婚。7年前にラッセル夫人の説得で海軍士官ウェントワースと婚約解消した過去を持つが、今なお彼のことをひそかに想い続けている。かつては美人だったものの、すでに花盛りは過ぎつつある。
サー・ウォルター・エリオット：ケリンチ・ホールの当主。アンの父親。プライドが高く、准男爵の地位に固執し、外見ばかり気にしているナルシスト。贅沢な生活習慣がたたって、ケリンチ・ホールを他人に貸し出してバースに移住せざるを得なくなった。
ラッセル夫人：アンの亡くなった母親の親友。寡婦。エリオット家の良き助言者であり、思慮深く堅実な女性。亡き母親に似て聡明なアンを特に可愛がっており、アンからも信頼を置かれている。7年前、財産がなく貧しい海軍士官だったウェントワースの将来を不安視して、彼との婚約を破棄するようアンを説得した。
フレデリック・ウェントワース大佐：海軍士官。31歳。かつてアンと婚約していた。誠実で紳士的な好男子だが未だ独身。海軍軍人の妻にふさわしい意志の強い女性を求めている。以前はしがない一士官だったが、ナポレオン戦争で戦功をあげて一躍昇進し、大佐の地位と25,000ポンドの財産を手に入れた。クロフト提督夫人（ソファイア・クロフト）の二人の弟のうちの一人。
エリザベス・エリオット：サー・ウォルター・エリオットの長女。アンの姉で29歳。エリオット家の三姉妹の中では最も美しいが未婚。父親と同じく、うぬぼれ屋で虚栄心が強い。家族の中では一番美しくないアンを見下している。
メアリー・マスグローヴ（旧姓エリオット）：サー・ウォルター・エリオットの三女。アンの妹。23歳。アパークロスの跡取りであるチャールズ・マスグローヴと結婚し、幼い息子が二人いる。被害者意識が強くヒステリックで、すぐに自分は病気だと思い込んで騒ぐ。
チャールズ・マスグローヴ：メアリーの夫。マスグローヴ家の長男。アパークロスの相続人で、現在はアパークロス・コテッジに住む。快活で良識ある好人物だが、読書の習慣がなくやや才覚に欠ける。趣味はもっぱら狩猟。愚痴っぽい妻にもよく耐えている。5年前アンにプロポーズしたが断られた。
マスグローヴ夫妻：チャールズ、ヘンリエッタ、ルイーザの両親。近隣ではエリオット家の次の地位に位置する大地主。善良で気のいい人たちで、アパークロスの本家に住む。
ルイーザ・マスグローヴ：マスグローヴ家の次女。十九歳。陽気で明るい性格だがやや強情なところがある。ウェントワース大佐に熱を上げている。
ヘンリエッタ・マスグローヴ：マスグローヴ家の長女。二十歳。妹と同じく陽気で明るいが妹ほど断固とした性格ではない。いとこのチャールズ・ヘイタ―とはほぼ許嫁のような関係。
チャールズ・ヘイター：マスグローヴ兄妹のいとこ。副牧師。周りからはヘンリエッタと相思相愛の仲かと思われている。ヘイター家はマスグローヴ家よりも社会的地位が劣る。
ハーヴィル大佐：ウェントワース大佐の友人。ライム・リージスに住む。彼の妹ファニーはベニック大佐と婚約中に死去してしまう。
ベニック大佐：海軍士官。ハーヴィル大佐の家に居候している。物静かで真面目な読書家。詩をこよなく愛好する。婚約者を亡くし傷心している。
クロフト提督夫妻：ケリンチ・ホールの借り手。海軍軍人。二人三脚でお互いを支え合う仲睦まじい夫婦。妻のクロフト提督夫人はウェントワース大佐の姉。
ウィリアム・エリオット氏：サー・ウォルターの親戚で、エリオット家の推定相続人。ケリンチ・ホールおよび准男爵位を継ぐ予定。過去にエリオット家との交際を拒んで絶縁状態になっていた。財産目当てで結婚した最初の妻（祖父は肉屋）とは死別。ライム・リージスでアンに偶然出会う。
シェパード弁護士：エリオット家の代理人弁理士。
ペネロペ・クレイ夫人：シェパード氏の娘。寡婦。長女のエリザベスに近づき親しくしているが、サー・ウォルターとの再婚を目論んで玉の輿を狙っているのではないか、とアンやラッセル夫人は疑っている。
スミス夫人：アンの女学校時代の友人で、現在は寡婦。バースで病気療養中。身体も不自由で経済的に困窮しているが、明るさを失わない快活な女性。ゴシップ好き。
ダルリンプル子爵夫人：サー・ウォルター・エリオットの親戚。大金持ちの貴族。
ミス・カートレット：ダルリンプル子爵夫人の娘。
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