ジェイン・オースティンについて

ジェーンオースティン  ジェイン・オースティン関連
National Portrait Galleryにて筆者撮影

 

ジェーン・オースティンJane Austen 17751216 – 1817718日)はイギリスの女性小説家です。鋭い人間観察力に裏打ちされた人物の書き分けと心理描写の巧みさは、『千の心を持つ』と言われるシェイクスピアにも匹敵するほどだと言われています。平凡な田舎の生活を描きながら読者の興味を惹きつける才能、自然で真実味あふれるいきいきした性格描写、皮肉でユーモアあふれる文体は他に類を見ません。夏目漱石はオースティンを「写実の泰斗(天才)」と絶賛し、晩年の理想である則天去私を体現した作品として『高慢と偏見』を挙げました。いつの時代も変わらない普遍的な人間性を描いた作品はいまなお世界中で愛され、ドラマや映画などの翻案が続々と登場しています。オースティンの人気は200年以上経った現在でも衰える気配がありません。

 あの若い女性には、平凡な生活を送る人たちの人間関係や感情や性格を描く才能があったが、その才能は私がかつて出会ったものの中で最もすばらしいものだ。大袈裟で、独りよがりな書き方なら私も昨今の流行作家のだれにも負けない。だが平凡なありふれた事柄や人物を捉えて、真の描写と情感でもって興味深い物語にするあの絶妙な筆致は、私には与えられていない。
(サー・ウォルター・スコットの日記より  1826)

 

実写では、BBCドラマ版『高慢と偏見』が原作の世界観を忠実かつ完璧に体現しており、「あらゆる映像化の中で最高傑作」との呼び声が高いです。

ダーシー役のコリン・ファースと、エリザベス役のジェニファー・イーリー。

ベネット家の人々。

 

ハリウッド映画では『ブリジット・ジョーンズの日記』『クルーレス』『高慢と偏見とゾンビ』『いつか晴れた日に』『エマ』『ジェイン・オースティン 秘められた恋』『ジェイン・オースティンの読書会』などが有名です。
2020年には新しく『EMMA.』が公開され、2022年にはNetflixで『説得』が配信されました。

 

Netflix 説得 2022

 

イギリスではその功績を称え、2017年に女性で唯一10ポンド紙幣の肖像画にも採用されました。

 

以下ウィキペディアより

18世紀から19世紀イングランドにおける田舎の中流社会を舞台として、女性の私生活を結婚を中心として皮肉と愛情を込めて描き、その作品は近代イギリス長編小説の頂点とみなされている。また英語における自由間接話法(描出話法)の発達に大きく貢献したことでも知られる。

オースティンの長編作品は、全て平凡な田舎の出来事を描いたものである。求めた題材の範囲は非常に狭く、いずれも登場人物は名家の娘と、牧師や軍人などの紳士で、この男女が紆余曲折を経てめでたく結婚して終わる。しかしオースティン自身、田舎に3、4の家庭があれば小説にもってこいの材料だ、と述べているが、そこでの人間階級を徹底的に描き尽くしており、人間性の不変さを示し、心理写実主義の先駆ともされている。

同時代や後年の作家にも高く評価されている。モームは、『世界の十大小説』で『高慢と偏見』を選び、「大した事件が起こらないのに、ページを繰らずにはいられない」と評し、するどい感性とユーモアのあふれる文体は比類がない。平凡な生活の中で、見出した真実味のある多彩な描写は非常に巧みであると、論じている。夏目漱石は『文学論』で、「Jane Austenは写実の泰斗なり。平凡にして活躍せる文字を草して技神に入る」と、絶賛している。

ジェイン・オースティン wikipedia

また小泉八雲は東京大学での英文学講義で、オースティンの人物の劇的な面白さはシェイクスピア的だとしながらも、文学的素養が備わってなければそのよさは理解できないのではないかという発言をしています。

今日でさえ、文学的教養が十分でないと彼女の小説の並はずれた長所を理解することはできない。ありふれた品のない人たちには理解が届かないのである。表面的にはともかく、その内面の意味の理解は。……少なくとも彼女の作品の一つは読んでおかなければならないが、そこに描かれているような生活、人々、悩みや愚行などは、あなた方の多くには奇妙に思われるのではないだろうか。……私はやはり、あなたがたにはオースティンのよさは本当には理解できないのではないかと思う。

と述べています。オースティンの小説に描かれた19世紀初頭のジェントリ階級の社会、その風俗習慣、文化的背景について知識の乏しい日本人にとって、はたしてオースティンを理解できるかどうかという疑問をハーンは抱いたのです。
その予想どおり日本でのオースティンの受容と知名度は、海外に比べて低いのではないかと思います。
しかし逆に言えば、当時の社会的・文化的背景についての知識があれば、日本人でもオースティンのよさを理解することは可能なのです。

このHPでは、ジェイン・オースティンの素晴らしさを広め、豊富に背景知識を提供しながら、気軽に無料でその作品をインターネット上で読んで頂くことを目的としています。素人の拙い翻訳ですが、楽しんで頂ければ幸いです。

ジェイン・オースティン・ハウスミュージアムの壁にかけられた記念プラーク。(筆者撮影)

“ジェイン・オースティン
1809年〜1817年までここに居住し、ここから彼女の全作品は世に送り出された。
我が国とアメリカの有志が団結して、この記念碑を立てた。
彼女の作品のような芸術は、決して古くなることはないだろう”

 

 

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